投資の世界では、億を超える資産を持つ人たちの世界では、一般の人たちが、「危険だ!リスクが高い!無理だ!」と騒いでいる内が、「ニヤリっ!」とできる一番美味しい時期、という共通認識を持っている。
逆に、みんなが「安全!安心!ノーリスク!」と言い出したら、投資対象としてはすでに危険、ある意味価値が過剰に膨らみすぎていてバブルが発生していると見て、売却して引き上げる時だと判断する。
この視点から見た時に、現地から見ても、海外から見ても、不動産というものが「安全!安心!ノーリスク!」というイメージになってしまった、中国での不動産はもう遅いと判断できる。
「昭和の時代」を知る僕たちとしては、中国の不動産は既に「昭和の時代」のものではなく、バブル真っ只中であると思われるからだ。
そう僕が断言する根拠として、中国本土に2003年~2010年末まで住んでいた、僕の実体験を参考までにお話させて頂きたい。
僕が中国本土で購入した不動産
「海外不動産投資」では、時として今日時点の日本の常識では考えられない現象が起こる。「昭和の時代」の常識を当てはめることで理解できる現象であるのだが。
たとえば、僕の実体験を例に挙げさせていただくと、中国本土で購入した不動産物件。デベロッパーとの本契約の際、国への登録が終了した時点で、すでに約230万円(現在の為替レートベース)以上も、物件価値が値上がりしてしまった。
これを、格好良い言葉でまとめてみると「簡単なサインだけの作業で最低230万円ゲインする方法」となる。・・・なんだか、ネット上によくある「詐欺情報商材」のタイトルみたいだ。
他にも中長期という形でよいならば例がある。同じく中国の2番ランクの都市の中心地に約200万円位で購入したコンドミニアムが5年間で約600万円になり。
一番ランク都市の僻地に、約300万円位で購入したコンドミニアムが3年間で600万円になる。
2006年から2010年末まで、実際に中国本土に住んでいた僕自身が、中国本土の不動産投資において、こういう倍々ゲームというものを実際に体験してしまった。
どの不動産にも共通しているのは、家賃収入(インカムゲイン)という部分では、まともに稼ぐことができないのだが、売却益(キャピタルゲイン)狙いであればオンタイムに売却して利益確定させることができるということだ。
それぞれ現地の不動産屋さんに、売却の登録をしているのだが、実際にポロポロと「購入希望」のオファーが来る。「もっと高く・・・」を狙ってしまっているので売却の同意はしないのだが、実際に価格が上昇したベースでの需要があることも確認ができている。
「昭和の時代」を知っていた僕だからこそ勇気を持って踏み込めた部分であり、後はいつのタイミングで売却するのか?というものを慎重に狙っている状態である。
住んでいた高級コンドミニアムがたったの5年で3.25倍
「たったの5年間で物件評価額が2倍?それは『机上の空論』なのではないか?」今、日本国内に住み、日本国内の不動産投資ベースで考えている人たちは、素直にこのように思われるかもしれない。
そしてみんな不動産業者などのプロと呼ばれる人たちは「家賃収入(インカムゲイン)の成り立たない不動産投資は、不動産投資ではない!」と口を揃えて言うのである。
けれども、これは「机上の空論」ではなかった。なぜなら、物件価格、短期間での上昇。・・・こういうことは、日本の「昭和の時代」と同じような高度成長期にあった、中国に2006年~2010年末まで住んでいた僕にとっては、「ごくごく当たり前のこと」として、感じてしまっていた。
たとえば、僕が2010年12月31日まで、家族と一緒に住んでいたコンドミニアムを例に挙げよう。
2008年10月に、「イカロス事件」をきっかけに、嫁さん+娘2人が香港からこっちに引っ越すことになった(この事件に関しては、別の機会にお話ししよう)。
それを機に、家族が住める今の広めの高級コンドミニアムに引っ越したのだが、全く同じタイプの部屋が、2008年頭頃には、120万中国元(2008年時点の為替レートで約1,540万円)で購入できた。
しかし、2013年5月の時点では、店頭表示価格ベースで、390万中国元(2013年5月時点の為替レートで約 6,450万円)。・・・実に、たったの5年の間で現地通貨ベースで3.25倍も価格が跳ね上がってしまったのである。日本円の為替ベースだともっとである。
僕がこれまで購入して来た、数百万円代の不動産物件以上に、現地で言う超高級と言われる、外国人や富裕層しか住まないだろうレベルの、不動産物件の価格が跳ね上がってしまったのだ。
正直住んでいた当時は、「こんな危ない地域の不動産が上がるわけがない・・・」とも思っていたので、既に2,000万円近くのコンドミニアムは、「MAXの価格であって、投資対象ではない。」と考え、一切手をだすことはなかった。
そして、僕が現金で購入出来るような、数百万円代のコンドミニアムしか投資をしなかったのだ。
けれども、僕の予想に反して、一番大きく価格が跳ね上がったのは、この手の高級コンドミニアムと言われるもので、数百万円代の不動産物件のそれを遥かに凌駕する勢いで、価格が上昇した。
僕が当時、家族と一緒に高級コンドミニアムに実際に住んでいて、毎日のように会社まで徒歩で通い、その日常から肌で感じたことから、この「高騰劇」を自分なりに分析してみると、
- 市内全体の不動産物件相場が上昇:2008年と比較して市内全体の物件価格が2倍ぐらいに跳ね上がった。
- 利便性が改善:2008年頭には比較的不便に感じられる場所だった。ところが地下鉄が開通し、道路も整備されインフラが一気に整っていった。
- 安全性が改善:「あそこは夜道が危ない」、そう地元の人にも少し恐れられる場所にあった。しかし、途中からビデオ設置、電灯設置、派出所設置などの治安強化策などにより治安が一気に改善された。
- もともとセキュリティーがバッチリ:物件の周囲は危ない感が漂う場所だったが、その分、物件自体のセキュリティーは鉄壁。怪しい人たちは絶対に入って来られない感が当時からあった。
- デベロッパーがシンガポール企業:造りがいい。デザインがいい。いい仕事をしている。僕が一目見て「ココに住みたい!」と思えたほど。
- 目の前に香港企業系ショッピングモール:当時はまだ基礎工事中。建物は何もなかったものの2011年に中国でも最高級レベルのショッピングモールが完成。ゲートから徒歩15秒の場所に、HERMESがある不動産物件になった。
- 何もなかった隣接テナントビルにも、続々外資系飲食店がオープン:日系コンビニ・ファミリーマートに、スターバックスコーヒー。さらには、なんと日本で有名なラーメン屋「一風堂」までできている。
不動産物件自体は何も変わっていない。ただ、「昭和の時代」を彷彿する高度成長によって、周囲の環境が変わっただけ。
- 危険で、
- 不便で、
- 回りに何もなった
という時には120万中国元。それが急激な、
- インフレ
- インフラの整備
- 市内人口増加
が起こり、
- 安全になり、
- 便利になり、
- 周囲にいろいろできた
ことで390万中国元。これらが、たったの5年の間に起こってしまったのである。
仮に僕が購入していたら・・・という皮算用をしてみると、
- 購入価格約1,540万円
- 銀行融資85% = 自己資金15% = 231万円
- 含み益 = 6,450万円 - 1,540万円 = 4,910万円
- 自己資金231万円に対して、5年で4,910万円の含み益 = 約2,125.5%の投資利回り
なんと、たったの5年の間に約2,125.5%の投資利回りを、算出することが可能となってしまうのだ(わかりやすく諸経費を考えずに計算)。
ちなみに、「僕は当然それを見越して買っていた。5年で4,910万円ものキャピタルゲインを得てしまった!」なんて、堂々とあなたに言えると非常に格好良かったのだが、残念ながら僕はただその物件に住んでいただけ・・・現場にいたにも関わらず。
おまけに、当時は中国国内のHSBC(香港上海)銀行の担当マネージャーと顔を合わせる度に、不動産リストのようなものを持って来て「ローンで不動産買ったほうが良い!」と言ってきたにも関わらず、僕は怖くて1,000万円以上するような、大きな不動産物件を購入する勇気が持てなかった。
結果としてちびちびと数百万円レベルの不動産を合計3つ購入するに留まったのだ。
当時・・・不動産物件購入目的のお金を借りることは、外国人にとっても、非常に容易なことだったのに、不動産価格が上がりきった今日では既に国の制度が変わってしまい、非居住の外国人が銀行からお金を借りられない。
当時の僕は「昭和の時代」を妄想しきることができず、勇気を持った行動を起こすことができなかった。単に物件の内側から、ドンドン値上がりする様を、ただただ眺めていただけだったのだ。
2008年10月、僕の嫁さんと子供たちが引っ越してきたこのコンドミニアム。物件価格が120万中国元の頃、朝の幼稚園「お迎えバス」を待っていたのは、うちだけだったコンドミニアムの周りには毎日1,000名近くの中国本土の現場作業員が働いていて、道路の上はゴミだらけで本当に怖いところだった。
僕が引っ越してきた当初、子連れの日本人はまだ誰も住んでいなくて、当時、僕が娘たちの通う幼稚園にわざわざ電話とメールで、新たに「バスの経路」として入れてもらうよう、僕がお願いしたくらいだ。
ところが、物件価格が390万中国元の今、朝、僕の出勤の時間ともなれば「ここは日本か?」と錯覚してしまうくらい、何組(余裕で計10組以上)も、日本人のお母さんたちが子供たちと一緒に、幼稚園や小学校の「お迎えバス」を待っている。諸外国からも街自体が「安全」とみなされるようになったようで、以前は単身で来ていたのが多かった日本人駐在員も、家族連れでの駐在が一気に増えてきた。
僕の周りの「億万長者」たちが口を揃えて、「危険、不安、不便な時が投資開始の絶好のチャンス。安全、安心、便利は、利益確定・売りのシグナル」と言っていた。
僕は数百万円レベルではリスクを取ることができたが、1,000万円以上のリスクを取ることをできなかった。本来は「危険、不安、不便」という時こそ、もっと勇気を振り絞って行動しなければならなかったわけだ。
どちらにしても、今日の中国本土の不動産は「危険だ!リスクが高い!無理だ!」と言われている時期はとっくに通り過ぎ、既に中国本土の従業員レベルの方々でさえも、不動産に投資をすることに躍起になっている状態で。。。現に僕が勤務していた中国広州オフィスのスタッフも、2010年末頃にはみんな不動産を投資目的で購入していて、ランチタイムにもなればそういう話ばかりをしていた。
「昭和の時代」を知る僕たちとしては、この状態の「中国本土」では「入るタイミング」ではなくて、「引くタイミング」であることを理解しなくてはならない。
僕たちは、日本の「昭和の時代」と同じような現象が起こっている国・地域を、中国本土ではない、別の国に探しに行かなければならないのだ。
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