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映画『天空の城ラピュタ』の「ムスカ大佐」を考察

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映画『天空の城ラピュタ』の「ムスカ大佐」を考察

ムスカ大佐:「ハハ、さっさと逃げればいいものを!」
「素晴らしい!最高のショーだと思わんかね?」
「ハハハ!見ろ、人がゴミのようだ!」

狂気かつ引きつった顔で笑い声を高らかに上げる男。「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」という人物をご存知だろうか?

昭和を生きた日本国民なら誰でも知っている宮崎駿監督の映画用アニメ『天空の城ラピュタ』に出てくるキャラクター「ムスカ大佐」。

映画を視聴した方々なら、「ムスカ」が悪いやつ。主人公ヒロイン「シータ」と、ヒーロー「パズー」の男女コンビが良いやつとして、一般的には認識しているはずだが。

子供の頃、『天空の城ラピュタ』が好きで何度も繰り返し視聴していた僕が、おぼろげに抱いていた違和感のようなもの。大人になってから理解できるようになった。僕がハマってしまったのは、「ムスカ大佐」の方。

いまだに「ムスカ大佐」の真似をしてしゃべることはあるが。主人公であるはずの、「シータ」と「パズー」の真似をしたいとは思わない。

つまり、どちらかと言うと僕は、「シータ」と「パズー」ではなく、「ムスカ大佐」のファンであるとも言語化できよう。その根拠というものが、明確に分かるようになった。

「ある日、少女が空から降ってきた・・・」

ラピュタの主人公
ヒロイン:シータ
ヒーロー:パズー

政府の特務機関に捕らえられ飛行船に乗せられていた。彼らの狙いはシータが亡き母から受け継いだ、謎の青い石のペンダントだった。

そこへその石を同じく狙う空中海賊ドーラ一家の襲撃があり、逃げようとしたシータは誤って飛行船から転落してしまう。

シータは石が放つ不思議な光に包まれて気を失いながらゆっくりと落ちて行く、偶然そこに居合わせた鉱山で働く少年パズーぎゃキャッチ。そこから2人の冒険が始まる。運命と偶然のラッキーに恵まれた2人。

まっすぐかつ純粋な心を持って次から次に『ラピュタ』を私利私欲で悪用しようとする。大人たちの野心・野暮を打ち砕いて行く。普通ならば誰がどう見ても、100%「正しい」のはシータとパズーでありそうなのだが。

シータ:ラピュタの末裔だったことは単なる運命「ギフテッド」生まれてからその日まで何も考えずに動植物と戯れながら過ごしていた。

パズー:「いつか『ラピュタ』へ」というなくなった父の残した絵を見ながら熱くは思っているものの。じゃあ具体的にどうやって行くのか?などの想定と準備はゼロ。単に毎日の労働を繰り返す日々。

そんなある日の夜、空から少女が・・・。最終的にその想いは叶えられることになったが。そのプロセスを見ると。

  • 偶然空から落ちてきた 『ラピュタ』に行く方法の鍵を握る女子をキャッチ
  • 頑張って逃げ続けた先に偶然『ラピュタ』に到達することになった

頑張ってはいるが、全てが偶然のラッキー系であり、何一つとして、自らの意思で目的・目標を持つ形で、想定と準備を繰り返し狙って手に入れたものは無い。「シータ」と「パズー」の有様を、現代社会におきかえてみると。

まさに、「金融資本主義ピラミッド」のピラミッドの最下層に生きる方々の代表格!(あなたと僕のこのオンライン上のやり取りだから言えることだが・・・。)

何も考えずにただ毎日夢や規模を抱きながら働き続けるパズー。

「金持ちは3代で潰れ貧乏は7代続く」

偉大だったご先祖の形見を胸に何の目標も持たずにただ日々を過ごす人「シータ」。つまり、まさに「大衆」の象徴なのだ。彼らが「ムスカ大佐」の『超古代文明・ラピュタ』の復活と世界の制圧という野望を打ち砕いたことは、

「凄いね!おめでとう!」

ということになるが。彼らの生き方そのものには、何の魅力もないし感銘を受けるものは皆無。「シータ」と「パズー」がどこか無機質に感じていた理由である。

「修羅」の雰囲気漂う「ムスカ大佐」

一方でなぜ、「ムスカ大佐」があれほどまでに記憶に残るのか。無機質な「シータ」と「パズー」に対して、人としての生々しさを感じるのか。それは、まさに「金融資本主義ピラミッド」の「修羅」特有の匂いを放ち続けているからだ。

「シータ」同様に、ラピュタ王家の末裔であるが、彼女とは対象的に、『ラピュタ』のちからを自らの手中に収め、新たな「ラピュタ王」として全世界に君臨することに、強い野心・野望を燃やす。

王家の証であるペンダントは持っているものの、何も知ろうとせず、何も考えようとせず、ただありのままの日々を送り続けていた「シータ」とは違い。懸命なる努力を積み重ねて、「ラピュタ」のことを徹底的に調べ上げる。

古文書を頼りに失われた古代文明の文字も解読するまでには、並大抵の努力ではなかっただろう。「伝承の要」を書き写した手帳を常に大切に大切に持ち歩いている。

軍の将軍を動かすほどの権力を持った大佐に上り詰めるためには、当然ながら、その世界でのハーバード大学的な大学に入学・主席で卒業して、政府機関に入った後も、全ては野心・野望の実現のため、政府中枢完了含めた内・外上下左右の根回しなどものすごく頑張ったことだろう。

お勉強のし過ぎで、視力が弱くなったのも、度の入ったサングラスをかけていることからもよく理解できる。また、「インテリ」だけかと思えば、エンフィールド・リボルバー銃で「シータ」の三編みだけを撃ち落ばせるほどの銃の腕前。

ココにも射撃大会では優勝していただろう努力の片鱗が見え隠れしている。全ては野心・野望に基づく目的・目標から逆算されて言動であり。推定20年にも及ぶ積み上げも着実に行われ続けていた。

その努力の結果、ついに降り立った『天空の城ラピュタ』。軍の人間が黄金や財宝を略奪しまくる中、「ムスカ大佐」は基準を一切ぶらさず脇目もふらず内部へ。事前に調べ上げていた秘密通路を抜けてたどり着いた『ラピュタ』中心部で全機能を掌握。

その後、予め調べていた通りに、「ラピュタの雷」を見せつけたり、沢山のロボット兵をつかって、自分が乗ってきた空中母艦「ゴリアテ」を撃沈。自分の野心・野望に基づく目的・目標が達成された瞬間の喜びは、

ムスカ大佐:
「ハハ、さっさと逃げればいいものを!」
「素晴らしい!最高のショーだと思わんかね?」
「ハハハ!見ろ、人がゴミのようだ!」

もはや平常心を保つことができない状態で、引きった笑い方になる。野心・野望に基づき、目的から逆算された、長年に渡る積み上げの末に欲しいモノを手に入れる、願いを叶えた者だけが、共通して知っている自分でもどう笑いを表現してよいか分からない笑い方だ。

しかし、あまりも喜び過ぎて脇が空いてしまったのだろう。本来ならば、子供と言えども油断をすることなく、自分の部下を見捨てたように、「シータ」と「パズー」を役目が済んだ時点で、始末しておくべきだったのだろう。

結果として、先々のことを何も考えず、その時の感情で考えて動く「シータ」と「パズー」が、ムスカ大佐の惨殺シーンを見て正義感を出した捨て身の覚悟で唱えた、『ラピュタ』滅びの呪文「バルス」。

ペンダントヘッドが発した強烈な光は「ムスカ大佐」の視力を奪い。ムスカ大佐「目が、目が〜!」と悲鳴を上げながら、崩壊するラピュタと共に遥か高空から下の海へと落ちて行く。天国から地獄。さぞかし無念だったことだろう。

「王国復活」目前にして、今までの積み上げた全てを、無に返してしまったばかりか。自らの命も失うことになってしまったのだから。

「ムスカ大佐」。ファーザーやマスターヒロさんのような「無敗の師匠」がいれば、こんな最後の最後で致命的なミスをすることは無かったのに。。と思う。

また、「修羅」の力を持ちながらも、「世のため・人のため・自分のため」が抜けていて、「自分のため・自分のため・自分のため」で考え行動し続けた末路である。

現実世界では起こらない「逆転劇」

映画『天空の城ラピュタ』が、大衆にウケたのは。リアルな「金融資本主義の世界」では、起こることが無い。「大衆」と「修羅」の逆転劇を、見れるからではないだろうか?

大衆の代表格の「考え方」の「シータ」と「パズー」が、修羅の代表格「ムスカ大佐」のその野心・野望を偶然とラッキーの組み合わせで、一撃必殺技的に「バルス」のひとことでぶっ壊してしまうところにあるのだろう。

大衆は潜在意識の段階では薄々感づいている。自分が労働者として働く会社の中で、常に「ムスカ大佐」のような人が、学校の勉強〜社会の出世競争に至るまで何をやっても勝ち続けて、先回りする形で、世の中の富と権力を制覇。

自分は彼らに何をやっても必ず負け続ける身にあることを。その逆転は、絶対に起こらないということを。

しかし映画の中では、大衆の代表的な「考え方」を持った「シータ」と「パズー」というキッズたちが、そんな「ムスカ大佐」をぶち壊してしまうのだから。

大衆にとってそれはそれは、まことに「痛快劇」なのだ。もっと言えば、これを、完全なまでに想定・逆算して原作〜映画を制作された、「宮崎駿監督」は、本当は「ムスカ大佐」のような御方であるに違いない。

間違っても、「シータ」や「パズー」側の、人間ではない。映画『ラピュタの城』公開後、ご自身が狙ったとおりに、世の中の大衆が熱狂する中。

恐らくは、五つ星ホテルの枕に顔をうずめて、誰にも見せられない程、崩れた顔で、まるで「ムスカ大佐」のように、高笑いをしたに違いない。すべては僕の憶測に過ぎないが、あながち外れてはいないと思う。

追伸・・・
「考え方」が変わると、映画一つにとっても、見え方が全く変わってくる。世の中で起こっていることが、クリティカルに見通せるようになる。
「LINE@5ポケッツ成功者の思考と習慣」
https://kitasociety.com/lp/5pockets_line2/


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