「会社法人」とは、摩訶不思議な存在だと思う。自分が立上げて、日々のお仕事に、深く関わっていたとしても、「会社法人」は、自分ではない。自分とはまったく違う、別の存在。
けれども、「会社法人」に携わる人間が、いろいろと「会社法人」のために、動かなければ、「会社法人」自体は何も動かい、働かない。
いったい「会社法人」とは、何なのか?どこまで乗っても2.3香港ドル(約34円)の「香港トラム」の2階席に座り、トンローワン、ワンチャイ、ガムチョン、チョンワン・・・「会社法人」の管理と監査をしてもらっている、香港の会計事務所に行く途中。「会社法人」が詰まったビルがズラリ立ち並ぶ、香港の街並みを眺めながら、「会社法人」についてじっくりと考えていた。
生活拠点のジョホールバル、ビジネス拠点の香港
約12年間、サラリーマンとして勤務した、日本の玩具メーカーを退社した後。僕と家族は、シンガポール隣町の、マレーシアジョホールバルに引越した。
マレーシアジョホールバルに引越した理由・・・。
- アジア最大級の都市シンガポールの隣町で、約1時間以内に陸路で移動できる。
- 自宅用コンドミニアム+2軒、合計3軒のコンドミニアムを購入した。
- インターナショナルスクールの誘致に積極的で、子供の教育に力を入れている街。
- 家が広くて安い。
- 年中同じ気候で、過ごしやすい。特に寝るのが快適。
- リタイアメントビザ(MM2H)が取得しやすい条件。
・・・というのが、マレーシア・ジョホールバルを、家族との生活拠点として定めた、主な理由である。
しかし、僕の場合、マレーシア・ジョホールバルは、生活拠点となっているが、ビジネスの拠点とはしていない。
僕にとって、ビジネスの拠点はあくまでも、アジア最大級の金融都市、香港なのだ。
2003年に、会社の転勤辞令で、香港に引っ越して来て、2010年末に会社を退社するまで、ずっと関わり続けて来た香港。香港特有の、ビジネス・投資にまつわる仕組みを知り、魅了されて、ビジネスの拠点は、香港に定めることにした。
僕は何を持って「ビジネスの拠点」としているのか?
ビジネスを営む際、「会社法人」を設立したのだが。その「会社法人」は、香港の「会社法人」なのだ。香港には、僕がビジネスを営む際に立ち上げ、活用している、「会社法人」が存在しているのだ。
いったい、何を持って「会社法人」とするのか?
僕も大学を卒業して、社会人になってから、「会社(法人)」という言葉を、日常的に使うようになった。
およそ仕事をしている人間であれば、毎日一度以上は、「会社法人」という言葉を、口に出している。
会社勤務している、サラリーマンであれば、私は・・・僕は・・・という自分を表す単語よりも、我が社は・・・うちの会社は・・・という会社法人を表す単語の方を、まるで自分のことのように、何度も口にしている。
社会人であれば、日常的に当たり前のように誰もが使うことば「会社法人」であるが。俯瞰レベルを高めて「会社法人」を見てみると、ほんとうに不可思議な存在である。
たとえば、僕がかつて勤務していた、玩具メーカーの「会社法人」を例にあげると・・・。
☆玩具商品が「会社法人」なのか?
玩具メーカーというと、おもちゃ売場で販売している、「会社法人」のロゴがついた、玩具商品そのもののイメージが強い。
けれども、玩具商品自体が「会社法人」であるわけではないようだ。玩具メーカーの「商品」の現物が、どこに存在しているかを、想定しながら考えて行くと・・・。玩具商品の現物が、日本全国のおもちゃ売り場の店頭&バックヤードから完全に撤去されたとしても、「会社法人」は消滅しない。
玩具商品の現物が、卸売問屋の倉庫から、撤去されたとしても、「会社法人」は消滅しない。玩具商品の現物を、玩具メーカーの倉庫から全て廃棄しても、玩具メーカーの工場の生産を止めたとしても、「会社法人」の本社ビルや、支社ビルのオフィスのサンプル、ショールームのサンプル全てを撤去しても、「会社法人」は消滅しない。
玩具メーカーが「会社法人」として取り扱っている玩具商品の在庫が完全にゼロになり、地球上から全てが消滅したとしても、「会社法人」は消滅しない。
つまり、「会社法人」が、メーカーとして製造している、玩具商品自体が「会社法人」ではないのだ。
☆株主・経営陣・従業員が「会社法人」なのか?
玩具メーカーである「会社法人」という枠組みの中で働いている、僕を含めた従業員自体は「会社法人」ではないようだ。
僕ひとりが「会社法人」を退社しても、「会社法人」は消滅しないのは当然のこと。「会社法人」の従業員が一人残らず全員「会社法人」を退社しても、「会社法人」は消滅しない。
はたまた、「会社法人」の「経営陣」と呼ばれる役員さんたち全員が「会社法人」を退社しても、「会社法人」の社長さんや会長さんが「会社法人」を退社しても、「会社法人」は消滅しない。
さらには、「会社法人」の株式を所有している、「株主」と呼ばれる方々全員が、「経営陣」を全員解雇して、所有している「会社法人」の株式を全て売却しても、「会社法人」はそのまま残り、「会社法人」は消滅しない。
「仕事」という枠組みの中で、「会社法人」をまるで自分のことのように、表現して「会社法人」に関わり働く人間は多いが。彼ら自体は「会社法人」では無く、彼ら全員が関わり合いを辞めてしまったとしても、「会社法人」は存続し続ける。
つまり、会社法人に関わる、株主、経営陣、従業員と「会社法人」はまったく赤の他人なのだ。
☆不動産が「会社法人」なのか?
玩具メーカーである「会社法人」が所有したり、契約したりしている土地建物・スペースなどの不動産が、「会社法人」ではないようだ。
玩具メーカーが「会社法人」として所有している、本社ビル、支社ビル、工場、倉庫、ショールーム、直営店、その他諸々の不動産・・・。
日本国内の不動産、日本国外の不動産、これら全ての、不動産物件を売却して、「会社法人」として、ただの1つも、不動産物件を所有しなかったとしても「会社法人」は消滅しない。
また、「会社法人」が「賃貸契約」している不動産全ての「賃貸契約」を解除して。「会社法人」で働く、経営陣と従業員が働く共有スペースが完全にゼロになり、全員が自宅で働くことになったとしても、「会社法人」は消滅しない。
むしろ、全経営陣・従業員の自宅含めて、この地球上から、働く場所が完全に消滅したとしても、「会社法人」は消滅しない。
つまり、「会社法人」は、「会社法人」が所有する不動産、「会社法人」が賃貸契約する不動産、従業員や経営陣が働くスペースでは無いのだ。
☆お金や金融資産が「会社法人」なのか?
玩具メーカーである「会社法人」が所有しているお金や金融資産が「会社法人」ではないようだ。
「会社法人」の資本金がゼロになっても、「会社法人」は消滅しない。「会社法人」の売上高がゼロやになっても、「会社法人」は消滅しない。
「会社法人」の利益がゼロやマイナスになっても、「会社法人」は消滅しない。「会社法人」の銀行口座の残高がゼロになっても、「会社法人」は消滅しない。
「会社法人」が所有している、株や投資信託、保険などの、金融資産がゼロになっても、「会社法人」は消滅しない。「会社法人」から、お金と金融資産が、完全に無くなってしまっても、「会社法人」は消滅しない。
つまり、「会社法人」は、「会社法人」が所有するお金や金融資産では無いのだ。
これらのことは、僕が勤務していた玩具メーカーだけでなく、世の中に存在する、非常に沢山の「会社法人」全てに共通していること。
- 「会社法人」は「商品(モノ・情報・サービス)」ではない。
- 「会社法人」は「人(株主・経営陣・従業員)」ではない。
- 「会社法人」は「不動産(土地・建物・スペース)」ではない。
- 「会社法人」はお金・金融資産ではない。
「会社法人」に関わる、商品、人、不動産、お金・・・その全てが消滅したとしても、「会社法人」は消滅しない。
けれども、仮に何かの裁判が発生し、裁判所の判事が、「会社法人」の解散を命じれば、「会社法人」は消滅する。
しかし、「会社法人」が法の下に消滅したとしても、それまで、「会社法人」が物理時空上で所有したり、関わっていたりした、商品、人、不動産、お金そのものは、物理時空上に全て残り続けている。
「会社法人」というものは、物理時空の中に存在しているのは、法律家が作成した「紙切れ」だけで、それ以外は何も存在していない。
「会社法人」にまつわる全ては、情報時空の中だけに存在しているのだ。
会社法人は、ビジネス・投資の活動を行う、それぞれの国の法の下で、情報時空の中だけに存在している。
けれども、「会社法人」は、銀行口座を開設したり、資産を所有したり、納税をしたり、法人格として、まるで生きている人間と同じように扱われているのだ。
「会社法人」には、物理時空上には何も存在していないのに、扱われ具合だけは一丁前、とてもとても、不思議な存在である。
「会社法人」のために「プライベート」を追求される
僕は現在、香港で設立した5社の「会社法人」を通して、ビジネス・投資の活動に携わっている。
全ての「会社法人」の、筆頭株主であり、経営陣であり、従業員でもある。何で5社もあるのかと言うと、ビジネスパートナーと共に立ち上げたビジネスが軌道に乗りそうなのが見えた際、ビジネスパートナーと一緒に、株主になり、経営者になり、従業員になる。
一社で全てのプロジェクトを、カバーしようとしないのは、ビジネスパートナーと共に、完全「明朗会計」で、売上・利益・現金・金融資産、PayPalと銀行口座の動き。互いが全て、オールクリアに見渡せるように、売上・利益が発生している、プロジェクトごとに、会社法人を全て分けているのである。
また、それぞれの会社法人の経営に、携わる人数自体は、2人〜5人と少ないものの、僕自体は、会社法人のお金に一切タッチしない。
経営に携わっていない、信頼できる第三者に託す形で、会社法人にまつわる、入金・出金その全てを、ノータッチ状態にしている。
だから、毎月の会社法人からの、報酬や給料がいくらもらえるのか?
毎月一度、入金の連絡と共に、はじめて知る形である。けれども、5社の「会社法人」の運営に関して、香港の会計事務所まで赴き、直接僕がやっていることがある。
それは・・・、「会社法人」の「会計」のための、「経費」の「提出」と「立証」の部分である。
香港では、会計事務所が、「会社の決算」と、「納税学」まで決定する力を持つ。だから、何が「経費」として認められるか?認められないか?これは、会計事務所の担当者次第ということになる。
僕が主に提出しているのは、
- クレジットカードの履歴
- 領収書
・・・もろもろ。「会社法人」の支出・・・経費にまつわる「立証」のための資料。
しかし、これは提出すれば全て通るというわけではなく、会計事務所の担当者から、細かく確認が入るのである。
「香港トラム」に乗って、チョンワンこと、セントラルにある会計事務所へ。
ミスターピーターと個室に篭り、
- この支出は本当に「フード」?
- この支出は何の目的?
- iPhone買ったとあるけど領収書は?
- ディズニーランドに何しに行ったの?
・・・ミスターピーターが、おかしいと思った経費項目に対して、一つ一つ回答して行く。
官門か?修門か?ミスターピーターには、人間味は一切無く、機械的に淡々と・・・。
超細かい男、ミスターピーターの、追求は非常に嫌気を感じる。
ちなみに、僕が提出した経費の内、ヘアカットの「美容院」代は、
ミスターピーター:「これはプライベートだ!」
・・・と、経費から外されてしまったが、よくよく考えて見れば、日本で一時帰国して、セミナーの前に髪の毛を切ったので、「セミナー目的のヘアカット」ということを、セミナーの写真と共に、「立証」することができたはずだった。。
ついつい、尋問のような追求が続き、弱気になってしまった。。。「会社法人」は自分ではない。。けれども、その目的次第では、僕個人のプライベートまで、細かく追求されてしまう。。「会社法人」とは、本当に不思議な存在である。
「会社法人」のための、ミスターピーターからの、長時間に渡る尋問作業後・・・。会計事務所があるオフィスビル近くにある、IFCモールへ。
スターバックスコーヒーでパソコンを立ち上げ、黙々とパチパチしながら、冷え込んだ心を、ホットティーで温めていた。
追伸
僕たち「地下ソサエティ」のメンバーが日本国内で立ち上げ、経営している会社法人は、たとえビジネスや投資で失敗して解散することになったとしても、株主・経営陣・従業員の金融資産・不動産資産などの個人資産を借金の返済に当てたりする必要が無い。
僕たち「地下ソサエティ」メンバーが、情報時空の中だけに存在している会社法人という仕組みを活用することで、安全な守られた状態でビジネス・投資の活動を行うことが可能になっている。
あなたは借金が怖いですか?
私は死ぬまでに<1,000兆円>の借金をすることが夢なのですが…