タイアユタヤ大洪水後の政府と各国企業の方針を確認してみる
タイのアユタヤでの歴史的な大洪水によって、多くの日系企業・工場が浸水の痛手を受けたことによって、日本のメディア各社が連日のように報道していましたので、その時始めてアユタヤの存在を知ったという日本人の方々も多いと思います。
これはメディアが取り上げるどの事件も同じですが、アユタヤ大洪水の後の現状を誰も追加報道していないので、報道でアユタヤのことを知った人たちにとっては、いまだに大洪水で浸水し続けた都市と勘違いしている人さえいるかも知りません。
実際にあの後、各企業や工場はアユタヤから撤退したのでしょうか?いいえほとんどの企業は撤退をしていません。
アユタヤには、自動車、半導体産業を始め、世界各国の企業が沢山工場を中心に進出しています。自動車一台生産するにも、その母体工場以外に、大小様々なパーツを作る会社や工場が必要になります。
今日現時点において既に、そのインフラが集約して出来上がっているのがアユタヤなのです。アユタヤは東南アジアのデトロイトと呼ばれる程、自動車産業を中心に最重要拠点と位置づけられている街なのです。
立地的に見てもタイはアジアの中心地に位置して、陸上交通でもアジア各国に完成した製品を運ぶことができます。
タイ政府が積極的に各国の企業、産業を誘致して、一台生産拠点として創りあげた都市です。外資系企業にとって税制的にも有利ですし、既に教育された労働力も確保しやすい環境が既に整っているのです。
この状態がで、タイのアユタヤを撤退しようとしたとしても、人材的に、立地的に、日本企業であることなども含め、様々な部分から判断して、他に移転できそうな場所などそうそうにあるものではありません。
タイ政府も今回の件があったからこそ、国家予算を投じて、本腰を入れて治水事業に取り組んでいます。国にとっての基幹産業、雇用がこのエリアから大きく生まれ続けていることもありますし、大手の企業が集うアユタヤから、外資系企業や工場が撤退してほしくありません。真剣に対策を講じているのです。
過酷な通勤を強いられている工場勤務ホワイトカラーの現状を確認してみる
アユタヤには製造業を中心に世界各国の企業が進出している関係で、既に日本人、外国人沢山のホワイトカラーが働いています。彼らの大多数は現在、バンコク市内からアユタヤ市内まで毎日車で通勤しているのです。
けれども現在、バンコク周辺の渋滞はますます悪化しています。通勤に非常に多くの時間を割く必要があるのです。一昔前であれば朝夕の通勤ラッシュ時は50分程度の時間だったものが、最近では1時間半ほどの時間を要するようです。ラッシュ時を避ければ、アユタヤからバンコクまで40分から50分程度で通えるようですが。
このようなことから、若い世代や独身世代の人たちは、最近ではアユタヤ近辺での受託を探し求めるようになっているのです。平日はアユタヤのしごとば近くに住んでノンビリ過ごし、週末はバンコクの街中に繰り出して都会の刺激を味わう、そんなライフスタイルを送っているのです。
けれども、ここで一つ大きな問題があります。アユタヤ周辺にはそういうライフスタイルに応えられる賃貸物件がほとんど無いのです。
ごく少数存在する外国人が住めるコンドミニアムも満員御礼状態全く足りない状態です。賃貸需要が沢山あるのに、供給できる部屋が無い。需要に対して供給が圧倒的に足りない状態なのです。
今回僕が購入したアユタヤのコンドミニアムは、こういう需要に供給できる物件。さらには、政府密着型の都市開発計画も重なった、出来レース的な案件だったのです。
タイ工場勤務の方々の様子
ちなみに僕は2003年から2006年までタイの営業&マーケティングの担当をしていましたが、別組織での生産部隊が生産工場もタイにありました。香港をベースにしている営業&マーケティング系の僕たちは週休2日だったのですが、タイ工場勤務の生産系の方々は土曜日も出勤。
タイ現地特有の出退勤時の大渋滞に巻き込まれないよう、タイ工場勤務の日本人駐在員はたちは、かなりの早朝・・・社員同士の乗り合い送迎で、バンコクの隣町まで毎日。それはそれは過酷な勤務体系でした。
基本、組織自体が別ですし、ミッションも異なりますので、普段は滅多に会いませんが、たまに何かのきっかけで生産系の方々にお会いした時、毎朝の早朝出勤でヘトヘトになってしまっている生産系の彼ら。対して、彼らよりも大分若かった僕が、香港からの出張対応でバンコク市内の5つ星ホテルに宿泊。
生産系:「孔明さん、どこに宿泊しているんですか?」
孔明:「えーと、。。うやむや。。。。」
申し訳なくてさり気なく話を逸らすことしかできませんでした。だから、アユタヤの工場に勤務する、ホワイトカラーの駐在員の方々の現状。よくよく理解できたのです。
さらには、アユタヤに大洪水があったからと言って、日本企業各社が工場を他の場所や国に移転させるのか?これはまず無いということがイメージつきます。
日本人生産部隊のアジア各国生産拠点探索の歴史、これを辿って行くと分かります。タイ自体の政策、優秀で真面目な現地スタッフの確保、生活習慣、現地スタッフの日本語力・・・これら全ての要素を考えた場合、中国本土以外の生産拠点メジャーは、正直タイ以外には無いのです。
インド?インドネシア?ベトナム?・・・どれも難しいですね。米国企業とかだったら、既に10年前位からこれらの国にもちゃんと対応できていますが、現状、日本企業と米国企業の間には、根本的に異なる部分が多々ありますので。これらの地域は、各企業の中での株主向けパフォーマンスとして、試行錯誤は続けて行くかと思いますが、実際の進出は難しいと思いますね。
あなたは借金が怖いですか?
私は死ぬまでに<1,000兆円>の借金をすることが夢なのですが…