イギリスは議院内閣制をとり、内閣制度は慣習上成立したものである。首相には、国王によって、庶民院の多数党の党首が任命される。首相の要請に基づいて、国王は他の閣僚を任命する。通常は庶民院議員である。 大人のための政治の超基礎講座、今回は議院内閣制についての解説です。議院内閣制はなぜできたのか。その歴史から、不信任や解散の意義について、わかりやすくお話ししていきます。(2ページ目) 行政権をつかさどる「内閣」が、議会の信任によって選ばれる制度のことです。つまり、議会によって政府が作られる体制のことです。, 世界の民主主義国家の体制は、議院内閣制と大統領制に大別でき、日本は議院内閣制の国家です。, などと捉えられていることも多いです。実は、このような把握は100%間違っているわけではなく、日本の独特の権力の仕組みが政治体制を分かりにくくしています。, このサイトは人文社会科学系学問をより多くの人が学び、楽しみ、支えるようになることを目指して運営している学術メディアです。, ぜひブックマーク&フォローしてこれからもご覧ください。→Twitterのフォローはこちら, 議院内閣制(Parliamentary cabinet system)とは、行政権をつかさどる「内閣」が、議会の信任によって選ばれる制度のことです。, そもそも、民主主義国家の権力は「立法権力」「行政権力」「司法権力」の3つに分けられています(三権分立)。, ここで大事なのが、権力に「どのように国民の意見(民意)が反映されているのか?」という点です。, なぜなら、私たちが暮らす民主主義国家は「国民主権=国民が国家を平等に支配する」のが原則であり、私たちが国家をコントロールできなければならないからです。, では、私たちの意見はどのように国家権力に反映されるのでしょうか?それはご存じの通り、選挙を通じてです。, 私たちは総理大臣も、その他の〇〇大臣も選挙で選ぶことができません。その代わりに、衆議院や参議院の議員を選ぶことができます。, つまり、国会議員を選び、彼らに私たちの意見を代弁してもらっているわけです(間接民主主義・議会制民主主義)。, 私たちの民意は国会議員を通して、つまり議院(議会)を通じて政治に反映されているということです。, ※民主主義の基本的な考え方についても、理解しておくことは非常に重要です。詳しくは以下の記事で解説しています。, 繰り返しになりますが、議院内閣制とは、議院(議会)によって内閣が信任される仕組みのことです。, 内閣というのは、総理大臣とその他の国務大臣(つまり財務大臣や経済産業大臣などの〇〇大臣)の人々のことで、その政権における行政権力のトップの人々のことです。, あなたもニュースで、国会議員の階段に大臣たちが集まって写真を撮られている所を見たことがあると思います。あれが「内閣」のトップで、その下にはさまざまな組織があります。, 議院内閣制という体制で重要なのが、彼ら「内閣=行政のトップ」にも私たちの民意が反映されているということです。, 立法権力のトップである議会には私たちの民意が「選挙」という形で反映されていますが、内閣の総理大臣や国務大臣は、私たちが直接選挙で選ぶことはできません。, 別の言い方をすると、国民の民意によって選ばれるという正当性は議会しか持っていないため、その正当性を基盤にして内閣が成立するということです。, 議院(議会)によって内閣が選ばれる仕組みですので、内閣のメンバーは国会議員でなくても問題ありません。, 議院内閣制と大統領制の最大の違いは、「一元代表制」と「二元代表制」という違いです。, そのため、民意を代表しているのは議会のみという意味で「一元代表制」と言われるのです。, そもそも、大統領制とは、立法権力である「議会」と行政権力のトップである「大統領」が、共に選挙によって選ばれる仕組みのことです。, 「議会」と「大統領」の二つの権力が国民の民意を代表しているという意味で、二元代表制と言われるのです。, 一般的に、大統領制は大統領の権力が強いとイメージさがちですが、実は大統領制は三権分立によって権力が制限されるシステムであり、大統領の権力は強いわけではありません。, 三権分立、大統領制について理解することは政治を理解する上で非常に重要なことです。以下の記事も合わせて参考にしてください。, なぜなら、議会が内閣を信任するため、議会で多数派を得た政党(与党)が、立法権と行政権の両方に影響力を及ぼせるからです。, 2章では、議院内閣制が成立した経緯について、3章では日本の議院内閣制の特殊なポイントを説明します。, 議院内閣制はイギリスで生まれた政治体制であり、世界の議院内閣制の仕組みはイギリスをモデルに作られてきました。, そこで、議院内閣制について理解するためには、イギリスの議院内閣制の歴史や仕組みを知ることが大事です。, イギリスの議院内閣制の歴史は、君主(国王)の権力の制限と政党政治の成立から見ていくと分かりやすいです。, そもそも、イギリスでは絶対君主制、つまり国王によって権力が支配され、国王によって作られた官僚制によって統治されていました。, それに対して、現代に繋がる政治体制が成立したきっかけになったのが、名誉革命(1688年)です。, 名誉革命では、国王の権力が絶対的なものから議会の中のいち権力にまで制限されました。, こうして議会が権力を持つようになると、議会の中で行政権力が争われるようになります。, この2つの政党は名誉革命以前から存在しましたが、名誉革命後の大まかな立場としては、, この二大政党によって議会の多数の議席を得ることが争われ、多数派になった方が行政権を握り、行政権を行使する手段としたのが内閣です。, このとき、首相(第一大蔵卿)のロバート・ウォルポールは、議会で多数派の支持を失ったことから首相の地位を辞任しました。, さらに、19世紀以降は二大政党制のもと、特にホイッグ党(自由党)の働きで選挙権が拡大され、国民の民意がより反映される場として議会が機能するようになりました。, また、いわゆる「政府」とは、議会で多数派となった政党の幹部によって作られる内閣のことを指すようになります。, 現代でも、イギリス政府、日本政府という言い方をしますが、内閣のことを政府と呼ぶようになったきっかけはイギリスにあったのです。, イギリスの議会の歴史について、もっと詳しく学びたいという場合は以下の本がおすすめです。, こうして作られたイギリスをモデルとして、各国で議院内閣制が導入されたのですが、現在の日本の体制はイギリスの体制とは異なる特徴を持っています。, しかし、日本の議院内閣制は他国とは異なる特徴も持ちます。この日本ならではの点を理解しなければ、日本の政治は理解できません。, しかし、歴史を見ると戦前から政党政治が行われているため、戦前にも議院内閣制が成立していたかのように見えます。ですが、これは区別しておく必要があります。, 戦前は、国民によって選ばれた衆議院が必要以上に権力を持たないように、明治憲法で議院内閣制や内閣のことについて規定がなされていませんでした。, それは、この時代には首相や内閣の権力を強めることは、幕府のような存在に繋がりかねないと考えられたからです。, 明治体制が、江戸幕府の支配を覆した新たな体制であることを考えれば、理解できることです。, 「議院内閣制じゃなければどんな体制だったの?」と思われるかもしれませんが、戦前に法的に定められた体制は、「超然内閣」と言われるものです。, 超然内閣とは、議会の支持と関係なく内閣が選ばれること。政府が議会に対して超然とした態度を取ること。, 内閣の力は、1889年に制定された「内閣官制」によって定められましたが、この制度では内閣の力が大きく制限されていました。, 超然内閣のもと、首相・内閣の権力が制限されていては政治を行うことが難しいのでは、と思いますよね。, 元勲内閣とは、明治維新を成し遂げた元勲らによる内閣のことです。明治維新を成し遂げたという威信があるため、「議院内閣制」のように「国民の支持を得た議会による信任」という正当性がなくても成立できたのです。, しかし、やがて元勲たちが引退すると、この仕組みが利用できません。そうなると、議会から独立して内閣を成立させて権力を握ることは難しくなります。, 政党は国民によって選ばれた国会議員たちの集まりですので、国民の代表という意味で権力の正当性を持ちます。, 原首相は政党政治を成立させるために、貴族グループ、宮中や軍部などさまざまな勢力とのネットワーク作りに腐心しました。, その結果政党政治の基盤が整い、非政党内閣の時期もあったものの、大正から昭和にかけて政党内閣が続きます。, こうして超然内閣から政党内閣に移行していったのですが、それは慣習的なもので法的な根拠があったわけではありません。, 結論を言えば、議院内閣制が成立したのは1947年の日本国憲法でその制度が明記されたことによります。, こうして内閣および首相の権力や内閣が議会の信任によって成立することが明記され、議院内閣制が成立したのです。, 日本の議院内閣制の特徴の一つとして、官僚制との関係があります。つまり官僚の影響力が強いために、「日本の政治は官僚が操っている」などと、官僚が持つ権力を必要以上に大きく感じてしまうことがあるのです。, 繰り返しになりますが、議院内閣制では立法権力である「議会」の政治家の幹部や、その幹部から任命された民間人が、行政権力のトップになるからです。, そして、財務省、経済産業省、厚生労働省といった各省庁と所属する官僚たちは、その内閣の下につきます。, 制度上は、官僚ではなく財務大臣、経済産業大臣といった国務大臣が官僚の上に立っているわけです。, 政治家は少なくとも建前上は、選挙で選ばれた民意を反映する人間ですので、制度上は問題ないことが分かります。, では、なぜ官僚の権力が大きいと思われてしまうのか。それは、閣議で提出される案件は、官僚たちによる事前の根回しが十分に行われているためです。, 閣議とは、法案や政令、条約、予算案などについて、内閣において意思決定する会議のこと。閣議の決定は、出席した閣僚の全会一致が原則。, よく報道されることですが、閣議で提出される法案や政令について、実際にはその場で話し合って決定しているのではなく、事前に官僚が根回しして妥協案を作り、それを最後に追認するのが閣議の役割になっています。, そのため、「閣僚は官僚にコントロールされている」「行政権力は閣僚が握っている」などと思われがちです。, そのようなイメージは、官僚があたかも一枚岩のエリート集団であるかのように思われるために起きる誤解です。, 実際には、官僚と一言で言っても多様な存在であり、それぞれが異なる利害を持ち、異なる外部との関係性に影響されているのです。, そのため、官僚がまったく行政権力に影響しないとは言えませんが、彼らが大きな権力を行使しているとも言い難いです。, 日本の議院内閣制は、政党政治との関係性、特に戦後日本を長期間にわたって支配した自民党による支配(55年体制)との関係性を理解することも大事です。, 議院内閣制は、議院(議会)の国会議員が国民によって直接選ばれ、多数派が議会を支配し、議会によって内閣が選ばれます。, そのため、国民は「時の権力のトップを自分たちで選んでいる」「政権交代によって自分たちの意見が政治に反映される」という意識を持つことができます。, しかし、戦後日本では、1955年に成立した55年体制(自民党による政権の支配)が1993年まで続き、それ以降も1994年の細川政権、羽田政権、2010年~2012年の民主党政権(鳩山、菅、野田政権)以外はすべて自民党政権です。, そのため、政権は事実上自民党一択であり、国民は選挙によって政権を選ぶという意識を持てません。, これでは国民は、選挙に行っても「どうせまた自民党が勝つんだろう」「どうせ〇〇が首相になるんだろう」と国のトップを選ぶ意識が持てません。, これでは、国民の意思を代弁する首相・政権を選ぶ意識が持てず、政府の正当性が揺らいでしまいます。, それに国民からは、自民党が一党独裁を続けるために改革の努力を怠っていくと思われてしまいます。, といったことを実践し、政権交代をせずとも国民の意見をすくいあげる工夫をしたのです。, 議院内閣制について解説してきましたが、日本の権力の構造はもっとさまざまな側面があります。, この記事で紹介しているのは限定的なもので、これだけで日本の政治を理解したことにはなりません。, オススメ度★★★飯尾潤『日本の統治構造-官僚内閣制から議院内閣制へ‐』(中公新書), 日本の議院内閣制から官僚制、政党政治など権力の構造がとても詳しく書かれた名著です。単なる制度上の話ではなく実態まで理解できます。日本の政治について学びたい方は必読です。, 現代日本の政治について分かりやすく解説されています。権力の構造というより政治について網羅的に知りたいという場合は、この本から学ぶことをおすすめします。, 日本の政治制度の実態を知るためには、書籍だけでなくリアルタイムの情報を得ることも必要です。以下の新聞・雑誌は政治情報がまとまっていておすすめです。, このサイトでは、他にも日本の政治について詳しく解説していますので、ぜひブックマークしてください。, リベラルアーツガイドは、質の高いコンテンツを作成し続けるためにご支援をお願いしています。詳しくは下記ページをご覧ください。, 当メディアは純広告(メディア内に設置する広告)を募集しています。詳しくは以下のページをご覧ください。.